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医真会オーディット機構
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【ご婦人の姿が描かれています】


 あなたはどちらに見えていますか。

この絵は「嫁と義母」というタイトルで1930年心理学者E.G.Boringが公表し、描いたのは漫画家W.E..Hillでした。
 貴方は若い女性を見てますか? それとも老婆を見てますか? どちらかにしか見えないはずです。若い女性を見ている人に、おばあさんを探すように指導すれば、老婆を発見してもらえます。見方を変えることを、会得すれば交互に見ることもできるでしょう。しかし若い女性と老婆を同時に見ることはないのです。よく知られた「多義図形」のひとつです。

 IAUの紹介に、この絵を持ち出したのは、若い女性と老婆を“同時には見ることができない”が、しかし私達はその存在を知り、一方を見ていても、見方を意識的に変えることで、他方を探し出し、交互にも見ることができることを知って欲しいと思っているためです。意識して立場を移したり、見方を変えることで、今ひとつの存在を認識できるということを共有したいからです。
 しかし言い換えれば「立場を意識して変えなければ、理解できないことがある」。医療者の考えと患者の考えをどちらもとも知ることは、困難だが、努力することで理解可能だと考えます。先ず、異なる考え、価値観がそこに存在することの理解からはじめなければならないと考えています。

   
医療にとって二人の女性とは
 


 進んだ医学を医療として、生活の中に取り入れることは、私たち(市民と医療者)が長い年月を掛けて培ってきた一つの文化です。感染症との、そして悪性新生物との戦いという医学を取り入れて、毎日の健康的な生活を作り上げる。生活習慣病と捉え、人間活動のあり方の中に医学の運用を組み入れて、一つの文化を形成しています。その医療(医学の運用)にあたり、異なる価値観に起因する様々な葛藤が噴出していること、すなわち新しい価値観に基づく様々な文化を感じています。
 私たちはこの二人の女性の姿を同時には見ることが出来ないまでも、どのようにすれば、もうひとつの姿があることを知り、異なる姿を見ること、理解することが出来るのでしょうか。

(表1)の“現行の取り組み”と今ひとつの “新しい原則”という姿をはっきりと把握し、理解できないものかと考えています。

   
癒しの医療が求められるのに、現実は逆向しているのでは?!
 
 どのような医療者が必要なのでしょうか。急性期医療を担っている医療機関では、入院治療日数は著しく短縮して来ています。短い入院治療期間の間に、時間的にも、身体的にも隙間なく高度の先進医療が詰め込まれてきます。さらに、一人ひとりの患者さんが求める医療の質や、要求レベルも多様になっています。この様な状況にあって一人ひとりの患者さんの姿が見える医療を安全に管理することは難しくなっていると考えます。切れ味鋭い薬剤、侵襲度の高い処置が、集中して行なわれます。これらを支える医療機器はさらに充実してゆきます。新しい機器が次々と限りなく現場に導入されてきています。一人ひとりの患者さんのニーズを捉え、サービスを提供するための時間はますます余裕がなくなります。このための時間が短縮されると同じように、これらの新しいことを学習するための時間が医療者にも用意されなければなりませんが、それも許されなくなっています。どれだけの要求を医療者に行なうのか、そのためにどれだけの負担を国民は負う決意があるのか、一人ひとりの患者に、市民に、国民にも求められている時代です。
  その様な状況が日々進んでいることの理解を求めるために、医療者は国民にわかりやすく説明することも必要です。そのことが、従来のお任せ医療、パターなリズムをよしとしてきた中でないがしろにされてきました。学習をしなかった市民も責任を負うべきですが、それをよしとして、それを利用してきた医療者に大きな責任があります。
   
医療の再設計と質改善に資する新しい原則
   
 以下の説明は、監査機構(IAU)の基本的な方向性をお話しするもので、医療の質監査、安全管理という分野に興味をお持ちの人達に向けたものです。
 引用する文献は、監査機構に専任する職員の必読の書としているものです。
「人は誰でも間違える(To Err is Human)」は、どなたもご存知の本ですが、これと双子(親子?)の本「医療の質(Crossing the Quality Chasm)」(お読みになった方も多いでしょうが、)のなかに、将来の医療のあるべき姿と現実とは大きな隔たりがあり、大幅なシステム改善が求められる。そのシステム改善の目標は6つである。そしてニーズに的確に応えるためにとして、第3章“医療の再設計と質改善に資する新しい原則”に質改善の10の原則が提示されています。そこには人が生きることの意味を、自身の価値観に合わせて考えられるようになった今日、医療者の慣習化された価値観の押し付けでは、提供する医療の質において人々のニーズに応えられないと、改善が求められています。
 そこに提示された“21世紀の医療システムの単純な原則”を、引用します(表1)
先に、アルビン トフラーが提示した“第3の波”が、津波となって医療にも押し寄せてきたことを感じさせられ原則です。この「医療の質(Crossing the Quality Chasm)」の第3章の中に大変気になるコメントがあります。それは医真会グループのIAUの一員として、5年余の間感じ続けていた疑問でもありました。
 その疑問は、「当委員会(米国医療の質委員会)が提起する21世紀システムの原則は、現行システムに従事している医師や現場従事者、医療界のリーダー、医療消費者の多くにとってにわかに理解できないものだろう」と述べられていることです。
 そこでは、同時に、新しい医療システムの設計にあたって取るべき対応策の基盤とすべき指導原理であるとも断言しています。理解できないでは済まされない、この原則に基づいて全ての改革の取り組みが求められているのです。
 “現行の取り組み”を、意識して離れることで、“新しい原則”が見えてきます。多分新しい原則が見えることで、現行の取り組みの歪を感じるのではないでしょうか。
   
患者さんのためにか、患者さんの立場でなのか
 



 今期の患者安全推進のテーマのひとつは、“患者さんの主体的参加”です。
平成17年6月8日 医療安全対策検討会議は「今後の医療安全対策について」報告書を提出しています。その概要のなかに、早急に対応するべき課題と施策を、以下の3つに分けて掲げています。
( http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/houkoku/index.html)

 この言葉の持つニュアンスに、“医療者の立場から見た患者安全”が見えているのではないかと気になります。現在は、主体的に自分の健康に関わらざるを得ない一人ひとりの患者さんに、医療者が主体的にどのように関わるかの時代を迎えている。にも関わらず、そこには“医療者の立場から見た、患者さんのために”が掲げられているような気がします。

   
【必読の書】
 


医療の質(Crossing the Quality Chasm)
      改革の道しるべとなるものです

人は誰でも間違える(To Err is Human)
      安全な医療の構築に人は、組織は、社会は何をなすべきかが論じられています

組織事故(Managing the Risks of Organizational Accidents)
      エラーの本質を知るためのバイブルです

いづれも日本語訳があります

   
 協力型臨床研修病院/日本医療機能評価機構認定
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